対談

フラン・ターケントン(アメリカンフットボールの元選手・解説者、実業家)とジェイ・エイブラハムの対談

ビジネスチャンスを得るための 4つの要素

料金はどこも同じでしたが、当時の私は、契約を得るために価格を低く見積もることはできない し、競合他社よりも良いサービスを提供することもできない、と理解していました。

私が大事にしていたこと、それは、「人間関係を築くこと」、「相手を知ること」、「時間を投資すること」、そして相手と一緒に座って話を聞 き、質問をして「信頼関係を築くこと」でした。

それは1週間かもしれませんし、たいていは数週間、時には数ヶ月かかることもありましたが、

のです。

このセールスの経験から、私は忍耐力を学びました。粘り強さを学びました。この経験こそが、今のビジネスにつながったのです。アスリートとして過ごしていただけでは、一度もビジネスにつな がったことはありません。

ジェイ:その後、どのようにして就職から自分の会社を持つまでに至ったのですか?

フラン:まずは、ホールデン・プリンティング・ カンパニーで印刷物を販売し、その後、コカ・コーラ社のマーケティング部で3年間働きました。

1969年、私は29歳になっていました。私はまだ フットボールを続けていましたが、その頃、自分が学んだビジネススキルや起業家精神を活かして、自分のビジネスを始めたいと真剣に考えるようになりました。

ビジネスを始めてすぐ、何か「ニーズ」を見つけなければならないと考えました。言ってみれば、人々が役に立つと感じ、お金を払ってくれるようなアイデアを作らなければならなかったのです。

ジェイ:新しい価値、新しい利益を人々にもたらす方法を見つけなければならなかったということで すね。

フラン:はい。私は、繊維産業の中心地に住んでいました。ジョージア州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州、アラバマ州、テネシー州が繊維産業の中心地でした。そこで私は多くの繊維関係者と知り合いになりました。当時、私は多くのネット ワークを作り、多くの講演を行っていましたが、そこで驚くべきことがわかったのです。

ジェイ:社員が辞めてしまうということですか?

フラン:そうです。辞めてしまう社員。この業界の平均的な離職率は毎年65%程度でした。

ジェイ:それはすごい。。

フラン:つまり、100人いたら65人が辞めて、65人を新たに雇わなければならない。そのためのコストは、当時、従業員1人あたり5,000~6,000ドル程度だったと思いますが、彼らには大きな負担でした。その結果、従業員の質は低下し、採用にも時間がかかりました…。

ジェイ:人材育成がうまくいっていなかった?

フラン:人材育成が全く…生産性は皆無でした…。

ジェイ:ということは、その問題を解決する方法があったということですね。

フラン:まさにその通りです。

ジェイ:では、何をしたのですか?

フラン:その頃、私は行動修正(の分野)の人たちとの接する機会がありました。私はスキナリアン・テクニックや行動修正についての知識を得ました。

ジェイ:行動修正とは何かを知らない人たちのために、それはどんなものですか?

フラン:そうですね。行動修正は、人間の行動に対しての、より体系的で科学的なアプローチです。行動修正では、人間の「内面」を見て、何が起きているのか、何が起きていないのかを解明しようとするのではありません。私たちは、観察可能で測定可能な「行動」を見ていきます。そして、その観察可能な、測定可能な「行動」を見ることができれば、その行動をコントロールすることができます。フィードバックとアドバイスという方法を通じて、行動の結果を修正していくのです。つまり、その行動を続けるべきかやめるべきか、助言することができるのです。

ジェイ:当時は、他と比べて最先端の技術だったんですね?

フラン:最先端だったと思いますし、特に繊維業界では使われていない技術でした。
とにかく、この技術をビジネス向けに改良すれば、大きなインパクトを与えることができるのではないかと考えたのです。

そこで私は、キャノン・ミルズ社に行きました。 キャノンミルズの人事担当副社長はバリー・ハドソンでした。当時のキャノンミルズは、世界のタオル事業の約70%を占めていました。

ジェイ:そう、巨大企業ですよね。

フラン:ノースカロライナ州カナポリスに本社を置く巨大企業です。保守的な会社で、外部のコンサルタントを雇ったことはありませんでした。私は彼にこう言いました。「私は、御社の離職率を減らすことができます。離職率を半分にして、何十万ドルも節約できる方法を知っています。」

ジェイ:そして、本当にその自信があったんですね?

フラン:ええ、もちろんです。自信がありました。彼は 「どんな方法ですか?」と言いました。私は
「その方法は、始まりと終わりのあるプログラムではありません。あなたの会社でスピーチをした り、セミナーを開いたりするだけのプログラムではないんです。誰かがここに毎日来て、第1シフ ト、第2シフト、第3シフト(彼らは職場で3つのシフトを持っていたから)で働いている人、そしてそれから、あなた方の上司と一緒に、問題に取り組んでいかないといけません。なぜなら、このプログラム成功の鍵を握っているのは、あなた方の上司だと思うからです。」と言いました。

「あなたの部下が辞めていくのは、通りの向こうの会社で働く人と同じくらいの給料をもらっていないからではないと思います。それは、上司からの正当な評価、適切なフィードバック、適切な指示が得られていないからだと思いますが、その原因は、上司が悪いからではありません。そうではなく、上司がその方法を知らないからなんです」

こうして私たちはこの会社で、スーパーバイザ リー・トレーニングを行うことを納得させたのです。スーパーバイザリー・トレーニングは、月曜の朝に2時間、水曜の朝に2時間、金曜の朝に2時間のクラスルーム・トレーニングを行います。それ以外の時間は、研修を受けたコンサルタントがスーパーバイザーと一緒に教室で学んだことを実践していくというものでした。

ジェイ:最初のクライアントですね。

フラン:そうです。それで私は彼を説得したんで す。そして、彼らをトレーニングし、一緒に仕事をして、グラフを作成しました。パフォーマンス・データ、出席データ、秒数、生産性などの基本的なグラフです。そうすると、彼も納得してくれました。
さて、あとはこのプログラムを実行する資金をどうやって調達するか。雇う人は決まっていまし た。その人とはすでに話をしてあったので…

ジェイ:では、彼と一緒に会社を設立したのですか?
フラン:会社はありませんでした。

ジェイ:アイデアの段階だったんですね。

フラン:お金はありませんでした。銀行に行って融資を受けることもできませんでした。そこで、まず、その人を雇うのにいくらかかるかを計算してみたのです。

そして、ビジネスを始めるためにはすぐに使えるお金が必要であるということがわかりました。ビジネスを成長させ、2人目、3人目、4人目を雇うためにもです。

そして、ビジネスを成長させ、必要なサービスを提供するために十分な利益率を確保するには、その人に月9,000ドルを請求する必要があると考えたのです。

そこで私は、バリー・ハドソンを説得しました。私は「5カ月間の約束をしてほしい」と言ったんです。

ジェイ:普通は1年か2年ですけどね(笑)。

フラン:もっと長い時間かもしれませんね。でも私は、「5ヵ月間でお願いします。月に9,000ドルですが、4万5,000ドルを保証してください。もしあなたのビジネスに劇的な影響を与えて、離職率を下げることができたら…。

ジェイ:測定可能な方法で…。

フラン:測定可能な方法で。「…離職率を減ら し、生産性を向上させる。つまり、結果としてこれまでより多くのタオルを製造できなかったなら、契約を破棄してもらって構いません」と言ったんです。

それもうまくいきました。それで、4万5千円の契約をしました。普通は請求してから90日後に、つまり翌月移行の支払いになりますよね。

ジェイ:もちろんです。

フラン:そのような余裕はありませんでした。だから、前もってお金を用意しておかなければならなかったのです。
そこで私はもうひとつ、「1969年4月1日からスタートするので、毎月1日に支払ってほしい」と言ったんです。彼は「なぜ毎月1日に支払う必要があるんですか?」と言いました。私は、「それが私のビジネスの資金源になるからです」と答えました。

ジェイ:彼には正直に話していたんですね。

フラン:「私の会社は小さいです。私は資金調達の仕組みをまだ持っていませんし、キャノンミルズにあるような資本も持っていません。なので、私は あなたにサービスを提供し、結果をもたらすことができますが、毎月1日に私に支払いをしていただく必要があります」。

そうして、毎月1日に9,000ドルの小切手を渡してくれたのです。これが私の最初のビジネスとなりました。

ジェイ:最初から結果を重視していたようですね。

フラン:そうですね。彼らにはニーズがありまし た。もし誰かが彼らのところに来て、離職率を減らし、品質を高め、1日の終わりにはより多くのタオルを製造できるようにするにはどうしたらいいか、つまり生産性を高め、パフォーマンスを向上させるにはどうしたらいいかを示すことができれば、それはキャノン・ミルズにとって利益になる。

ジェイ:それでは、ずっとこだわってきたのですね。

フラン:常にね。だから、

ジェイ:納得です。

フラン:それができなければ、彼らの店や工場にいる理由はないし、彼らが私と取引することを期待する理由もないのです。